アフガニスタンやパキスタンの治安は、ここ3年ばかり悪化の一途をたどっています。アフガン現地ではNGOの職員が武装勢力やタリバーンに狙われています。また女性は顔や姿を見せないようにと、普段以上に気遣うようになっています。ペシャワール会の伊藤さんも犠牲になりました。しかし、だからと言って私たちは活動を閉めるわけにはいきません。支援活動を通して生活を成り立たせている未亡人もいるわけですから、現地では目立たないように識字や縫製教室などを続けています。
アルカイダは実際に居るのか、居ないのか? 最近ではアメリカが紛争の理由として創りだした言葉ではないかと現地駐在の報道関係者も考えるようになっています。ビンラディンもアメリカが創り出だしたものです。武器弾薬をアフガンやパキスタンに運び込んだのもアメリカ、アメリカの経済は戦争特需なしには成り立たないのです。大国が軍産複合体を抱えて武器弾薬を作り消費する構造をやめない限り、世界中から戦争はなくならないと思います。
赤十字は08年からアフガンやパキスタンを「戦争地域」と規定するようになりました。武装地帯へ不当な攻撃、また無人飛行機を使っているので誤爆が多く、911以降、パキスタンとアフガンの国境沿いでは1万人以上が亡くなったと言われています。亡くなった人の後ろには10万人の家族。そして亡くなった人の親戚一族郎党あわせると100万人もの人が死を悲しみ、アメリカなどに対して恨みを持ち続け、武装勢力として育っていきます。日本政府は欧米の尻馬に乗ってテロとの闘いの片棒を担いでいますが、それでは平和はやって来ません。自衛隊のアラビア海の給油、それがどう使われているのかの検証もされていません(現地では横流しされている噂もあります)から、給油には反対したいし、今後のオバマの動きにも傾注したいと思います。
パキスタンの昨年度の自爆テロ件数は約1300件。9月20日に首都最大のマリオットホテルでも自爆テロがありました。オバハンのブログにも書きましたが、腑に落ちないことが色々あります。私たちは911と同じように、テロを煽りたいアメリカの謀略だと見ています。
ギルギットには子ども平和基金やJR総連の皆さんのご支援で、立派な母子保健センターが完成しました。計画から34年もかかりましたが、ここで刺繍、縫製、編み物、識字を中心に無料で教室等を開いています。イスラーム原理主義者たちは女性に教育は要らない、女性は外出してはいけないと言います。厳しい家庭で育ち一字も読めなかった中年女性が9年前にセンターへ入学、今ではしっかり読み書きができ、縫製教室の主任教師にもなっています。彼女は自分が働いたお金を子どもの教育にまわすことが出来ると胸を張ります。女性たちは自分が僅かでも稼げることで、生き方、考え方が変わったと言います。
栄養指導と料理教室というのが私の担当です。燃料使用を減らした、そして大量の食用油を使用しない健康に留意するケチケチ料理を教えています。女性たちには今までそうした発想がありませんでした。無駄を省き環境に留意するという今までとは異なった価値観に触れることも大切だと思います。
あとは初等母子保健教室、成人病予防などです。コンピュータ教室は2009年の春から開始です。皆さん、要らないコンピュータを捨てないでくださいね。古い型式のものでも現地では充分に使えるのですから。
女性が賢くなければ良い子どもは育ちません。神の教えに忠実に生きられ、明日の食料を心配することがなければ、貧しい人たちは衣食住無料の神学校へ子どもたちを預けなくても済みます。神学校で過激なイスラーム思想を吹き込まれることがなければ、子どもたちが武装勢力になることもないでしょう。
女性たちが暮らしの中で成長を遂げ、自立しながら夢を持って輝いて生きていくことこそが平和への歩みではないでしょうか。
コーヒー2杯分のお金で通学してくる女性たちの交通費(1か月分)が賄えます。センターへ通って来るための費用がネックとなって通えない女性が多いのです。またコーヒー1杯分で縫製教室では練習用の布が3m買えます。先生たちの給料は平均8000円。普段なにげなくの喫煙や飲酒、冷暖房代の節約が支援に繋がって行きます。
支援活動は出来る者が出来る時にするのが大前提。長続きのする支援活動のためには、命や生活をかけてまでするものではないと私自身は考えています。スポーツやドライブの延長のような軽い気持ちで、皆さんにも軽い気持ちで支援活動に参加して頂けるように念じています。
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