国家賠償請求裁判の提訴にあたって

 全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)、ジェイアール東海労働組合(JR東海労)および16名の原告は本日、@東京都ならびに国に対して総額8,580万円の国家損害賠償 A差し押さえた物件の引き渡し等を求め東京地方裁判所に提訴しました。
 これは、昨年6月から11月までの間にJR総連、JR東海労ならびに各個人宅への捜索差押令状の請求・発布・捜索・差押によって、憲法で保障されている権利を侵害され、著しい精神的損害を被ったことによるものです。
 そもそも、捜索差押の対象となった被疑事実は、一昨年6月にJR東京駅周辺で発生したとされる「暴力行為等処罰に関する法律違反(第1条)」被疑事件とされています。しかしそれは、JR東海労の正当な組合活動に対するJR東海会社の違法・不当な妨害に対し、JR総連役員が抗議を行ったものであり、刑法上なんらの違法性も存在しません。
にもかかわらず、平成15年6月12日、9月25日、10月23日、11月5日および6日に実施された、たび重なる捜索差押えにおいて、捜索差押令状には「差し押さえるべき物」の表示として「・・・日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(略称「革マル派」)の結成、沿革、主義、主張、方針、組織構成、活動、財政を裏付ける綱領・・・」と記載されていました。これはとりもなおさず、令状の請求段階から警視庁公安部がJR総連ないしJR東海労さらには(財)日本鉄道福祉事業協会(以下「福祉事業協会」)に対し、「革マル派」と組織的に関与する団体であるとの予断と思想的偏見を抱いている証左に他なりません。要するに、本件捜索差押処分は、JR総連、JR東海労ひいては福祉事業協会に対し上記予断と思想的偏見を抱き、「革マル派」を主な捜査・監視対象とする警視庁公安部公安二課が、対内的にはJR総連、JR東海労ならびに福祉事業協会の資産に関する内部資料の押収による公安情報収集活動を目的とし、また対外的にはJR総連、JR東海労ならびに福祉事業協会が「革マル派」と関与し、組織的に違法行為を行う反社会的団体であるかのように印象づけようとするものです。
つまり警視庁公安部公安二課の狙いは、令状に基づいてJR総連やJR東海労および福祉事業協会所属の役員・書記の資産状況、活動内容、果てはその思想信条等を把握しうる物件を差押さえ、それらの事柄を調査・把握することを意図していたことは想像に難くありません。そのことは、捜査当局自らが強制捜索によって押収した物品に示されています。
 一連の捜査は、本件被疑事件と何らの関連性を有しない「場所」「団体(個人)」であっても、ただ「革マル派」というレッテルを貼り付けることによって、「反社会集団」と描きだし、このような集団に対しては、憲法で保障されている人権の侵害は許されてもかまわないという手法です。まさに戦前の治安維持法下において、アカとレッテルを貼ったもの、国体の護持に反するものに対して、人身の自由、住居の不可侵、言論著作・集会・結社の自由等々の人権の保障規定を無視し、人権を蹂躙してきた手法と同じものと言わざるを得ません。
 その意味からしても、本件は明治憲法下における国民に対する人権蹂躙の反省に立って、国家権力の行使を制限するために制定された、日本国憲法の人権擁護規定や精神を破壊するものと指摘せざるを得ません。
 本件は憲法をめぐる由々しい情勢のなかで、現に今、憲法体系を破壊するものとして公権力が行使された事案です。私たちは、このような事態を決して黙って見過ごすわけにはいきません。したがって憲法を擁護し、憲法が保障する国民の基本的人権を守るために提訴に及んだ次第です。
 公権力の横暴を許さない闘いにむけて、あらためて全ての組合員の総団結を呼び掛けます。

以 上

2004年1月29日

全日本鉄道労働組合総連合会
ジェイアール東海労働組合