有事関連7法案等の国会成立に対する見解

 6月14日、参議院本会議で国民保護法など有事関連7法案と関連3条約が自民・公明・民主党などの多数により強行採決され可決・成立した。これらの法案は、5月20日に衆議院で同様に賛成多数で可決し参議院に送られたが、参議院では衆議院以上に短い審議の中で、かつ地方自治体にとっても大問題であるにもかかわらず中央・地方の公聴会を1回も開催することなく、会期末が近づいていることを口実に強引に決定された。
 そしてこれに先立ち、小泉首相は6月8日、主要国首脳会議(サミット)を前にアメリカ・ブッシュ大統領との日米首脳会談を行い、イラクの「多国籍軍への自衛隊参加」をはやばやと表明した。「反イラク勢力との戦争遂行」を任務とする多国籍軍への参加は、従来の政府見解にてらしても憲法違反であり、到底認められるものではない。また米軍が韓国から撤退し、日本をアジア最大の米軍事基地に再編するために、米軍を日本国内各地へ再配置するという計画が発表されたばかりである。このように日本国内はもとより、イラクにおいても米軍との戦闘行為を含む一体化が小泉政権のもとで強引に進められているのである。
 今回の有事7法案等の成立で、昨年6月の武力攻撃事態等関連3法案とともに、日本有事の際の国、自治体、自衛隊、企業、国民の役割などを定めた有事法制の法体系が完成することになる。これで日本がアメリカの軍事戦略や「テロとの戦争」に全面的に協力・加担する体制がつくられたということである。これらの法案成立によって、国内各地で武力攻撃事態やテロ・大規模災害等の「有事」の際に、戦闘行動を展開する米軍に自衛隊が水や燃料、食糧、弾薬などを提供できることとなり、それらへの協力や「住民の避難誘導」「救援」のためにJRも含む「指定公共機関」はその指示に従わなければならないことになる。さらに、自衛隊・警察・海上保安庁などは領海周辺で船舶検査ができ、命令に従わない場合は危害射撃ができることや、自衛隊が捕虜を拘束できるようになった。これらは憲法で禁止された「交戦権」の事実上の行使である。
 私たちJR総連は、こんにちまで労働者・市民の生命と権利を守る立場から、日本が再び戦争をしないように、鉄道労働者が戦争に駆り出されることのないように、有事法制に反対し、平和憲法を守る闘いに取り組んできた。また、今回の「国民保護法」などの問題点についても職場討議資料で明らかにし、職場での議論を巻き起こしてきた。
 今回の国民保護法の成立により「国民保護」を理由に指定公共機関とされるJRに対しては、救援物資の輸送や避難住民の輸送に従事することが指示される。私たちは業務計画策定段階で、現場の労働者の安全確保を第一に会社と労働組合が協議し、労働者が「危険である」と判断した場合の措置などについて具体的に検討していくことなど連合を通じて民主党に求めてきた。しかし、今回の内容はJR総連が求めているものとはほど遠い内容であった。とくに、指定公共機関等が国民保護に関する業務計画策定段階で労働組合の関与を条文に明記する要求が、「業務に従事する者等の意見を聴取する機会が確保されるよう配慮すること」という付帯決議の内容にとどまっていることや、JRへの「業務従事命令」などを定めている自衛隊法との関連、住民や労働者の安全の確保など、多くの問題がいまだ未解明・未解決である。
 私たちは、今後のJR各社での「業務計画」策定に対する対応など引き続き取り組みを継続するとともに、あらためて職場・地域から一切の「戦争とテロ」に反対し、平和を求める取り組みを強化していく。そして自衛隊のイラクからのすみやかな撤退を求め、平和憲法の精神を世界に発信し、全世界の労働者・民衆とともに国際平和の実現にむけて奮闘するものである。
 

2004年6月15日

全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)


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