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有事関連法案に反対する行動を求めるJR総連の意見
2002年4月17日 JR総連
- 小泉内閣は「有事法制」制定の準備をすすめ、今日にも国会に「武力攻撃事態法案」などの有事三法案を提出しようとしています。
この法案では「武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態又は事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」において、「組織及び機能のすべてを挙げて」対処するために行う@自衛隊の武力行使やAその準備及びB自衛隊と米軍への物品、施設又は役務の提供のあり方などが定められています。内閣総理大臣には地方公共団体等に対する指示および代執行の権限が与えられ、自衛隊員には「自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合に」武器を使用できる権限が与えられます。他方、国民は物資の保管、収容への協力が義務付けられ、違反すれば処罰されることになっています。
- 法案の中で「電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で政令で定めるもの」は「指定公共機関」とされ、「武力攻撃事態」への対処において国による強い監督を受け、大きな役割を担うこととなります。そのなかにJR各社が含まれることは間違いないと思われます。
JR各社はすでに自衛隊法101条において海上保安庁などとともに自衛隊との密接な協力が義務付けられております。また現在も在日米軍のための航空燃料の輸送も行っています。1999年の周辺事態法では第9条で民間への協力要請がうたわれ、政府は民間協力は強制ではなくあくまで要請であり、断ることもできると説明しました。当時、運輸省の担当者は交運労協との交渉の席上、「周辺事態においてJR各社への自衛隊法101条の適用は適切ではないと考えている」との見解を表明し、あくまで民間に対しては協力をお願いするだけだという点を強調しました。しかし、今回上程される有事関連法案では、罰則付きの強制により軍事行動のための物品、施設、役務の提供が求められることになります。しかも「武力攻撃事態」は「おそれのある事態」「予測されるに至った事態」を含むきわめて幅広い概念となり、強制の発動は様々なケースで起こりうることとなります。 鉄道が軍事行動に結びつく物品、施設、役務の提供を行った場合、国際法による「民用物の保護」の対象から外され、鉄道への攻撃は正当な軍事行動とみなされることとなります。実際、これまでの歴史において戦争状態のもと鉄道は軍事目標として攻撃、破壊の対象となり鉄道員や乗客に多くの犠牲者をだしてきました。 いったん戦争となれば鉄道は軍事的役割を担わされ、乗客を含めて攻撃対象とならざるを得ない宿命にあります。NATOによるユーゴ空爆の際、旅客列車が米軍機の爆撃を受けて多くの犠牲者を出したことはまだ記憶に新しい事態です。乗客の安全のために、毎日懸命に努力している鉄道労働者として、そのような事態を迎えることは耐えがたいことです。
- 歴史を振り返れば、1931年の満州事変も「中国軍が鉄道を爆破し武力攻撃をしかけた」ことが発端でした。武力攻撃への対処という名目のもとに関東軍は一斉に軍事行動を起こし、中国侵略の突破口を切り開きました。ところが「中国軍の武力攻撃」が実は関東軍の自作自演であったことは後になって明らかになったのです。しかし、いったんはまった戦争の泥沼からもはや日本は抜け出すことができず、破綻への道へと突き進むことになります。
ベトナム戦争においては、トンキン湾上のアメリカ艦艇が「北ベトナムから武力攻撃を受けた」ことを口実に米軍の北爆が開始され、戦争がエスカレートしました。しかし後に公開された米公文書によって、「北ベトナムの武力攻撃」が米軍による自作自演であったことが明らかにされました。 このように、「敵の武力攻撃への対処」や「自衛」がこれまで何度となく戦争の口実にされているのです。その意味で上程されようとしている有事関連法案は「武力攻撃への対処」の名のもとに日本を戦争へと導く大きな危険性をはらんでいるといわなければなりません。いわゆる「メディア規制3法」により、言論・報道の自由が大きく規制されようとしていることとあわせて考えるならば、事態はきわめて深刻です。
- 昨年秋、日本は戦後はじめて自衛隊を戦時に派遣し、戦闘行為を行っているアメリカ軍艦船などへの補給活動を行いました。9.11テロに対する報復を口実とした米英軍を中心とする軍事行動は罪のない多くのアフガニスタン民衆を殺傷し、すでに犠牲者の数は9.11テロの犠牲者を上回ったといわれています。生活基盤を破壊された民衆は、難民や国内避難民となり、今も悲惨な生活を余儀なくされています。
この自衛隊派遣を可能としたいわゆる「テロ特措法」は国民的な議論もないまま、わずか25日の審議によって成立しました。日本の政治家や官僚の荒廃した実態は連日の報道からも明かです。そのような人たちの手で、日本の未来を決する重要な決定が次々と行われることに大きな危惧を感じざるをえません。 国会においては実質を伴った審議をつくし、法案の持つ問題点をすべて洗い出すことがぜひとも必要です。またその過程で、連合内でも職場組合員を含む幅広い議論を徹底的に尽くす必要があると考えます。
- 日本国憲法は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」ことを高らかにうたっています。それは、先の戦争の惨禍から学んだ貴い教訓ではないでしょうか。私たちはこの憲法に明示された平和主義を守ることが連合の基本的な立場であると理解しています。そして戦時国内体制を定めるこの法案は明らかに憲法に違反しています。したがって、連合はこの法案に明確に反対するべきだと考えます。
日本はいたずらに「武力攻撃への対処」を掲げて戦争体制を整備することではなく、近隣諸国をはじめとした世界各国との友好関係を深め、信頼を得るために努力するべきなのです。とくに労働組合の立場からは、グローバリゼーションのもと、市場原理主義の横暴に立ち向かう国際的な連帯を広め、友好を深める努力こそ必要ではないでしょうか。その意味で、近隣諸国の労働組合がこの法案をどのように見ているのかについてもしっかり把握する必要があると考えます。
以 上
*以上は4月17日に開催された連合の第5回「国の基本政策」検討作業委員会に、JR総連が表明した意見です。
<参考>
2002年4月17日
有事法制法案の国会提出に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 草野
忠義
昨4月16日、いわゆる有事法制法案が閣議決定された。この課題については、国民の間で様々な意見があり、結論を急ぐことなく慎重に対応していくことが必要である。
例をあげれば、「何故、今、有事法制なのか」という意見がある一方、「平時においてこそ議論をすることが必要である」との声もある。また、「有事のみでなく、広く重大な自然災害等への対応も含め、あるいは、それを優先した対応について議論すべき」との意見もある。
「この議論を進めていけば、国民の権利に重大な影響を及ぼすことになる」と危惧する声や「自由(含・言論の自由)が脅かされる恐れがある」との主張もある。また、憲法との関係についての指摘もある。
連合としては、本年1月に、三役会の下に「国の基本政策検討作業委員会」(委員長:草野事務局長)を設置し、有事法制への対応等について慎重に議論を進めているところである。有事法制に関しては、5月上旬を目途に見解を整理すべく作業をすすめており、その内容については、まとまり次第、機関手続きを経た上で明らかにしていく。
以 上

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