|
戦争に備える有事法制が制定された。自治体や民間、すべての国民が強制力をもって戦争へ動員・協力させられる法律が制定されたのである。北朝鮮の脅威論を背景として、「戦時に超法規では権利が侵害される」という欺瞞をもって有事法制の必要性が強調された。残念ながら、「備えあれば憂いなし」の前に反対の声はかき消され、イラク反戦の一定の高揚は有事法制反対へと継続・発展させることは出来なかった。
国会審議は、極めて低調であった。とくに、民主党との修正合意により衆議院を9割の賛成で通過して以降、参議院での審議はもはや“消化試合”そのものであった。与党と野党第一党の合意が画期的な事態として賞賛され、「有事の議論がダブーでなくなった」ことで、集団的自衛権の行使容認や「自衛隊は軍隊」など、あからさまな「改憲発言」が矢継ぎ早に飛び出すにいたっている。
今日段階での有事法制の制定は、侵略行為に対する準備が主目的でないことは明らかである。日本が戦争に巻き込まれるとすれば、アメリカが引き起こす戦争へ加担・協力する場合であろう。アメリカは、国連決議なしでも一方的に先制攻撃を行うことをイラク戦争で実証した。国連安保理も含め国際世論が二分されるなか、日本政府は国連中心主義を捨て、国際協調よりも日米軍事同盟を優先させた。そして、有事法制関連3法案の成立によって、日米軍事同盟は一層強化されることとなった。今後、アメリカの先制攻撃型戦争に自衛隊のみならず、すべての国民が国家総動員的に組み込まれていくことになった。
今後は1年以内を目標に、「国民保護法制」「米軍の行動円滑化法制」など、戦時における政府・地方自治体、指定公共機関の体制づくりが本格化する。JR各社は、「武力攻撃事態法」第6条に規定された指定公共機関であり、JRに働く労働者は「その業務について、必要な措置を実施する責務を有する」ことになる。義務や罰則はどうなるのか、業務命令との関係はどうかなど、具体的に解明を求めるべき点が多くある。
JR総連は、労働者の生命と権利を守る立場から、日本が再び戦争をしないように、そして鉄道労働者が戦争に駆り出されることのないように、平和憲法の精神に則り有事法制に反対してきた。それゆえに、傘下のJR東労組の7名の組合員が、「強要罪」を口実にして逮捕・起訴され、7カ月たった現在も勾留されているのである。異常・過剰な家宅捜索と押収品の数、長期にわたる勾留と接見制限など、捜査当局・司法当局はJR総連を過激派に見立てて不当な行為、理不尽な扱いを続けている。7名の組合員の逮捕・起訴は、戦争に反対する労働組合への政治的な弾圧に他ならない。
有事法制関連3法案の成立は許したが、JR総連はあらゆる人々と連帯し、あきらめることなく平和を希求する闘いを継続することを決意する。当面、反弾圧の闘いを強化し、7名の即時釈放を実現するために闘い抜くものである。
2003年6月6日
全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)
|