No.10

デマで真実は隠せない

 JR連合が力を入れている「JR東日本の民主化」とは、JR連合による労組の一本化のことです。その手段はもっぱら、「JR総連・東労組=革マル」キャンペーンであり、基軸として使われているのが「民主化闘争情報」という一枚もののチラシです。週に二回ほど発行され、インターネットでも公開されています。外部には公開されていない関係者の実名もあり、それをそのままインターネット上で不特定多数に供与していることも非常に大きな問題だと思いますが、なにより、あまりにも根拠のない悪宣伝に終始しています。

 とりわけ、七人の逮捕以降、ヒステリックな宣伝のトーンはますます高まり、異常さが際だっています。

まずはイメージ戦略

 「民主化闘争情報」の眼目は、JR総連・東労組がいかに閉鎖的で暴力的な集団であるかを描き出すことです。

 誇張やデマもお構いなし。たとえば、212号ではJR総連事務所の様子が見てきたかのように描かれています。

「さつき会館は国鉄時代、『革マル労働者の牙城』と呼ばれ、すべての窓に鉄柵、階段は狭くて急勾配、・・・」

 目黒さつき会館は山手線で目黒から五反田に行くちょうど真ん中あたりの右手に見えます。蒸気機関車の動輪が目印ですのですぐに分かると思います。ぜひ、ご覧下さい。どの窓に鉄柵があるでしょう?また、事務所においでいただければ階段もお見せできます。たしかに広くはありませんが、ごく普通の階段です。

 あるいは、JR総連などが出した文書も、「革マル派の本音を思わず漏らした」といった感じで下線を引き、解説があります。

 ところが、その文章を見ると、語尾をわざときつい言葉にするなど、異常な書き方の文書であるかのように改変されていることもしばしばです。はなはだしいものでは、浦和事件の公判を傍聴し、その速記録から都合の悪いやりとりを削除して、あたかも正確なものであるかのように粉飾して配布したこともありました。

 また、名前など伏せて発したものも、実名に置き換えてあったりします。

ソースは「2ちゃんねる」だけ?

 「2ちゃんねる」というインターネット上の「掲示板」があります。公式の説明によれば、「『ハッキング』から『夜のおかず』までを手広くカバーする巨大掲示板群です。…発信元は一切分かりません。」とあるように、さまざまな人が、匿名で、自由に書き込みができるものです。内容としては、まじめなものもありますが、多くは出所不詳の怪しげな情報であり、たびたび名誉毀損で告訴されたり、時に「犯行声明」などが掲載されるなど、少なくとも情報の裏を取らずに利用することはできない情報源です。

 その中にはJR総連・東労組をテーマにした場所もあり、あることないこといろいろと書き込まれていますが、「民主化闘争情報」199号には、2ちゃんねるの書き込みが引用されています。

「木黄シ兵死部で投票してきた。机をはさんで向かいに疫淫がズラリとならんでいてさ、・・・」

 はたして、このような書き込みが信頼に足るのかどうか?書いてある意味さえ分かりません。

 そもそも、ここにどの程度、内部告発といえるものがあるのかも疑問です。集会情報などは確かに早いのですが、不正確なものが多く、総連大会のような場の情報はほとんど現れません。また、現場では使わない言葉が現場用語として使われていることもままあります。

 自分たちで書いて、自分たちで引用しているとしたら…?それはちょっとうがちすぎでしょうか。

現場を失った労働組合はどこへ行くのか?

 これらに共通しているのは、「民主化闘争情報」を書いている人が全く現場に足を運んでいないということです。

 JR総連事務所の外観など、山手線から見るだけでも分かります。文書の改ざんも、JR総連のホームページを見た人ならすぐに気づくはずです。あるいは、職場・組合に対する不満なら、「2ちゃんねる」によらずとも、現場に足を運べば聞くことができます。

 なぜ、現場に向かわないのか。現場に向かい合うなら、何が事実で何が嘘なのか分かってしまうからでしょう。事実を見た上で、なお嘘を連ねるのは容易なことではありません。

 他の人たちもまた現場に向き合わないから嘘がばれはしないだろうという、労働者を馬鹿にした態度がそこに透けて見えます。

 現場あっての労働者です。私たちは凛として、真実の労働運動を追求していきます。

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