No.5
労働組合法第1条は次のように書かれています。
放っておけば強い立場の使用者の横暴の前に、労働者は泣き寝入りを余儀なくされます。だから労働者は自主的な労働組合をつくって団結し、団体交渉を通じて労働協約を結び、使用者との関係を規制するのです。それを保障するのが「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」とした憲法第28条であり、この労働組合法です。 そして労働組合法第1条には次のような第2項があります。
刑法35条というのは「正当行為」を定めるもので、「法令または正当な業務による行為は、罰しない」としています。つまり団結権を守るためになされた行為は「正当行為」として罰しないことが法に定められているのです。労働組合の基本的権利は、法によって守られているのです。 国内法だけではありません。ILO第87号条約には次のような第3条があります。
また第8条には「国内法令は、この条約に規定する保障を阻害するようなものであってはならず、また、これを阻害するように適用してはならない」とも定められています。 これら内外の法令を無視して、労働組合の団結を守る行為を犯罪に仕立て上げ、7人を逮捕したのが日本の公安当局でした。容疑事実にあげられたのは、職場集会での発言内容であり、仕事の合間の会話です。労働組合の権利に対する重大な侵害といわなければなりません。
労働組合の権利侵害と闘うのはすべての労働組合の共通課題労働組合の権利侵害に対して、それがはるか離れた外国で起きたことであっても、抗議の声をあげるのは労働運動の常識となっています。だから、国際自由労連は毎年、詳細な労働組合の権利侵害に関する報告書を公表しているのです。 経営者や政府は労働組合の権利を制限したいと考え、しばしば侵害するものです。これに対して労働組合は、自らの権利を侵害から守る不断の努力が求められます。外国のことであろうと、他の組合への攻撃であろうと、それを自分への攻撃と考え、抗議の声を上げるのは、国際連帯の精神であるとともに自分の権利を守るためでもあるのです。 JR連合はJR総連に傷をつけ、自分たちの勢力拡大に利用しようと、重大な労働組合の権利侵害にもろ手をあげて賛成し、拍手喝采しています。そればかりか、検察側の言い分を根拠に「犯罪者だ」「支援するな」と国際組織にまで懇願する始末です。労働組合としての見識が疑われる行動といわなければなりません。
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