No.9

団結は労働組合の生命

 経営者は企業の中で強い力を持っています。労働者の昇進や賃金を決めることも、配置転換をすることも、出向に出すことも、場合によっては解雇することもできます。もし、労働者がひとりひとりバラバラで、ものも言えない状態に置かれていれば、そして労働者を守る法律がなければ、経営者のひどい仕打ちに労働者は泣き寝入りするしかありません。

 経営者は労働者をバラバラに分断し、お互いに競争させることによって酷使し、使い捨てにすることもできます。事実、まだ労働組合のない昔には、そのようなことが頻発しました。いえ、今でも、労働組合がなかったり、あっても機能していないところではそのようなことがしばしば起きます。だから、労働組合が大切なのです。

団結を守るのは当然の行為

 労働組合の目的は労働者を守ることです。その力は団結から生まれます。どんなに組合員が多くても、それぞれ勝手なことをやっていては力にはなりません。たくさんの労働組合があっても、てんでんバラバラに動いていたのでは力になりません。労働者を守るために、心をひとつにして行動することが大切です。

 この団結は、長い長い闘いとおびただしい犠牲の上に、権利として認められました。だからいま、ILOの憲章にも、日本国憲法にも明記されているのです。

団結は労働組合の生命と言えるでしょう。

 団結は団結を破壊する者との闘いによって守られます。労働組合の存在を快く思わない経営者や政治家たちは、団結を破壊し、労働組合の力を弱めようと隙を狙っています。組合を分裂させ弾圧し、労働者をバラバラで無力な存在に引き戻そうと狙っているのです。

 外からの攻撃は、内から呼応する者がいて成功します。団結を乱す者に対して、労働組合は厳しく対処しなければなりません。全員で決定した方針を勝手に無視したり、根拠のない非難を述べるような行為に対して、厳しい指導や場合によっては統制処分が行われるのは、団結を守り、労働者全体の利益を守るためです。団結を乱す者を問いただすのは当然のことです。

労働者の立場を忘れたJR連合

 JR連合という組合があります。その最大単組であるJR西労組の森委員長は大会の挨拶で「自殺するなら阪急や近鉄で」と発言して顰蹙をかったことは記憶に新しいことです。

 彼らは、不当な長期勾留を受けているJR東労組の七人の組合員を救援することに猛然と反対しています。ITF(国際運輸労連)のコックロフト書記長が日本政府に抗議の手紙を送ったことに対して、抗議の手紙まで出しました。その手紙に添えられた資料は、なんと検察側冒頭陳述の要約でした。裁判における検察側の主張を事実と宣伝し、労働者の逮捕に抗議した国際機関に抗議するJR連合は、誰の立場に立っているのでしょうか。

 彼らが組合潰しの側に立つのには訳があります。JR連合という組合は、会社幹部による分裂工作によってJR総連から分裂してつくられました。団結を破壊し、労働者の力を弱め、会社が好き勝手なことをやるためにつくられたのがJR連合です。たった五〇秒の遅れを責め立て、社員を自殺に追い込むJR西日本の姿勢を、「正しい」と擁護しているのがJR連合です。職場に監視カメラを設置して社員を常時監視し、掲示板から勝手に組合掲示を持ち去るJR東海の姿勢を擁護しているのがJR連合です。その最高責任者である明石委員長は、JR東海本社人事課の課長代理の職から組合に送り込まれた人物です。

 JR連合は組合員のことを考えているでしょうか。

 JR東労組の七人の組合員が逮捕された浦和電車区事件の発端は、JR連合傘下のグリーンユニオンという組合がYという若い組合員を酒やキャンプに誘ったことでした。彼らはYにJR東労組の悪口を散々吹き込み、反発をあおり、組合が決定した方針に違反する行動へとYを駆り立てました。

 団結を乱すYの行動がJR東労組の中で問題になると、Yに嘘をついてごまかすよう指示し、問題を拡大しました。嘘がばれてYがJR東労組組合員の怒りを買い、脱退・退職を考えはじめたとき、彼らはYを冷たく見放したのです。

 公安・検察当局がYを利用してJR総連・JR東労組への不当な弾圧を開始するや、今度はこれに飛びついて、公安・検察当局の主張の代弁者をつとめているのがJR連合です。彼らに、労働者・組合員を、そして労働組合とその団結を守ろうとする気など毛頭ないことは明らかでしょう。

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